おりもののお悩みについて
おりものとは、女性性器からの分泌物のことをいいます。
おりものの増加には、生理的増加と病的増加があります。
生理的増加には排卵時や妊娠時などがあり、病的増加には性感染症などが原因となります。
おりもの増加の病的原因は?
クラミジア、淋菌、トリコモナス、マイコプラズマ・ウレアプラズマなどの性感染症があります。
カンジダ、ヘルペス、細菌性腟症など自己免疫力の低下などでおりもの異常をきたす場合があります。
さらには、子宮頸がん、子宮頸管ポリープ、子宮粘膜下筋腫などでもおりもの異常をきたします。
それぞれの疾患の特徴をお示しします。
クラミジア
- 性感染症の中で最も感染の多い疾患です
- 女性では腟、のどに感染します
- おりもの増加、悪臭、外陰部のかゆみ、不正出血、腹痛などの症状を認めます
- 自覚症状は乏しく、90%以上は無症状です
- 放置すると、不妊症や異所性妊娠の原因となってしまうことがあります
- 当院では当日検査結果がわかる迅速検査もあります
- クラミジアの場合は抗菌薬による治療が必要です
- 軽症であれば1回の経口薬で治療が可能です
詳細はクラミジアのページをご覧ください。
淋菌
- クラミジアと同時に感染しているケースが10~30%にみられます
- 女性では腟、尿道、のどに感染します
- おりもの増加、悪臭、外陰部のかゆみ、不正出血、腹痛、排尿痛、外尿道口からの排膿などの症状を認めます
- 自覚症状は乏しく、50%は無症状です
- 放置すると、不妊症や異所性妊娠の原因となってしまうことがあります
- 当院では当日検査結果がわかる迅速検査もあります
- 淋菌の場合は抗菌薬による治療が必要です
- 軽症であれば1回の注射薬で治療が可能です
詳細は淋菌のページをご覧ください。
トリコモナス
- 腟トリコモナス原虫によって引き起こされる炎症性疾患です
- 女性では腟内以外にも、尿路、バルトリン腺、スキーン腺などにも寄生します
- 性行為以外にも、下着などの衣類、便器、浴場などで感染するケースもあります
- おりもの増加、悪臭、外陰部のかゆみ、不正出血などの症状を認めます
- およそ10~20%は無症状です
- 当院では診断率の高いトリコモナス専用培地を用いた培養法を行います
- トリコモナスの場合は抗菌薬による治療が必要です
- 通常10日間の経口薬で治療が可能です
詳細はトリコモナスのページをご覧ください。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ
- 性行為により感染し、子宮頸管炎が主たる病態です
- 女性では腟に感染します
- おりもの増加、悪臭、外陰部のかゆみなどの症状を認めます
- まずはクラミジア・淋菌・トリコモナスなどの除外が必要です
- 一般的な検査や治療を行っても自覚症状が改善しない方が検査の対象です
- マイコプラズマ・ウレアプラズマの場合は抗菌薬による治療が必要です
詳細はマイコプラズマ・ウレアプラズマのページをご覧ください。
カンジダ
- 75%の女性が生涯で少なくとも1回は罹患するとされる日常頻繁にみられる疾患です
- カンジダは常在菌(=誰もが持っている菌)で、真菌というカビの一種です
- 免疫力の低下や腟内環境の悪化で、カンジダ外陰腟炎を発症します
- おりもの増加、悪臭、外陰部のかゆみなどの症状を認めます
- 誘因として抗菌薬内服後が最も多く、妊娠、消耗性疾患罹患、不適切な自己洗浄などがあります
- 他の原因菌との混合感染の場合もあり注意が必要です
- 治療は腟内の洗浄や腟錠の挿入、外陰部へのクリームや軟膏の塗布を行います
詳細はカンジダのページをご覧ください。
ヘルペス
- 性器に潰瘍性または水疱性病変を形成する疾患です
- 初感染初発、非初感染初発、再発によって症状が少し変わります
- 性的接触後に発症する場合と免疫力の低下を契機に発症する場合があります
- おりもの増加、悪臭、外陰部の痛みやかゆみなどの症状を認めることがあります
- 一度治っても、免疫力が低下した時などに再発を繰り返す点が特徴的です
- 抗ウイルス薬の内服が有効で、ヘルペスウイルスの増殖を抑制し治癒までの期間を短縮します
- 頻回に再発を繰り返す場合には、再発抑制療法や早期短期療法が有効です
詳細はヘルペスのページをご覧ください。
細菌性腟症
- 腟内の乳酸菌が減少し、種々の好気性菌や嫌気性菌が異常増殖した病的状態です
- 腟内の防御機構が破綻し、性感染症に罹患しやすくなり、逆に性感染症にかかっている時には、種々の好気性菌や嫌気性菌が異常増殖し、細菌性腟症の状態になっていることも多くみられます
- おりもの増加、下腹痛、不正出血などの症状を認めます
- 他の原因菌との混合感染の場合もあり注意が必要です
- 治療は腟内の洗浄や腟錠の挿入を行います
詳細はの細菌性腟症ページをご覧ください。
子宮頸がん
- 毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかっています
- 通常、早期にはほとんど自覚症状はありません
- 進行するとおりもの増加、不正出血、性行時の出血、下腹痛などの症状を認めます
- 20歳を過ぎたら2年に1回の検診が推奨されています
- 検診クーポンなどがありますので、子宮頸がん検診の詳細ページで確認しましょう
詳細は子宮頸がんのページをご覧ください。
子宮頸管ポリープ
- 子宮頸管部(子宮の入り口)にできるポリープ病変のことをいいます
- ほとんどが良性ポリープですが、まれに悪性のこともあり鑑別が必要です
- おりもの増加、不正出血、性交時の出血などの症状を認めます
- 無症状のこともあり、検診時に発見されるケースもあります
- ポリープを認めた際は、原則的に切除し、病理組織学的検査を行います
- ほとんどの場合、切除自体に痛みはなく、数秒程度で終わります
詳細は子宮頸管ポリープのページをご覧ください。
子宮粘膜下筋腫
- 子宮筋腫とは子宮筋層を構成する平滑筋に発生する良性腫瘍のことです
- 婦人科疾患の中で最も多く、生殖年齢の女性の20~30%にみられます
- 子宮筋腫の発生部位によって症状が異なります
- おりもの異常をきたすものとしては子宮内膜直下に発生する粘膜下筋腫があります
- 過多月経、過長月経、不正性器出血、貧血、おりもの増加などの症状を認めます
- 不妊症や不育症を招く可能性もあり、精査が必要です
- さらに子宮内膜ポリープや子宮体部肉腫(悪性腫瘍)などとの鑑別も必要です
- そのため粘膜下筋腫は基本的に手術となります
詳細は子宮粘膜下筋腫のページをご覧ください。
まとめ
おりもの異常をきたす原因には様々なものがあります。
生理的変化や病的変化など多岐にわたり、ご自身での判断では限界があります。
疾患の中には、放置することで炎症が広がったり、不妊症の原因となる場合もあり注意が必要です。
当院では、おりもの異常の原因を詳細に調べ、少しでも早い治療を目指します。
ひとりで悩まずに、どんなことでもお気軽にご相談ください。
診察をご希望の方は、当院の24時間WEB予約かお電話にてご予約ください。
ここからはQ&Aで分かりやすく解説していきます。
Q1.最近おりものの量が増えました。大丈夫でしょうか?
おりものの量が増える原因には、生理的増加と病的増加があり、様々な疾患が背景に隠れている場合があります。
特に性感染症などの場合、不妊症の原因となることがあります。
放置せずに正しい検査を受け、しっかりと原因を調べることが重要です。
Q2.おりもののにおいが気になります。大丈夫でしょうか?
おりもののにおいがこれまでとは違うケースでは、性感染症などの病的な原因を考える必要があります。
またカンジダや細菌性腟症などの腟内細菌叢の乱れによるケースも多くみられます。
ひとりで悩まずに、どんな症状でもお気軽にご相談ください。
Q3.おりものが黄色や茶色っぽいです。大丈夫でしょうか?
おりものが黄色や茶色っぽい場合には、まずは性感染症を疑い検査を行います。
さらに茶色っぽい場合には不正出血が予想されるため、不正出血の原因検索も行う必要があります。
おりもの異常や不正出血には様々な原因がありますので、正しい検査を受け、必要な治療を受けましょう。