ピル外来

当院では、ピル再診の方に対して、極力待ち時間を減らした「ピル外来」をおこなっております。

ピルをご検討中の方やピルについて詳しく知りたい方は、お気軽に当院までご相談ください。

ラベルフィーユ、ファボワール、トリキュラー、マーベロンなどは最大12シート処方可能です。

また当院では、低用量ピルが何らかの理由(40歳以上、喫煙、片頭痛など)で内服できない方でも、内服可能なピルも取り扱っております。

ご希望の方は、24時間WEB予約もしくはお電話にてご予約ください。

低用量ピルとは?

低用量ピルは、最も優れた避妊方法のひとつです。
正しく服用できていれば、99%以上の避妊効果が期待できます。

そして最大の特徴は、避妊効果に加えて、生理痛を軽減できるということです。
これは生理の量を少なくし、生理の期間が短縮されるためです。

さらにはニキビなどの肌トラブルの改善や、月経前症候群(PMS)の改善、生理不順の改善、子宮内膜症の予防・治療、卵巣がんや子宮体がんの発症リスクを低減させる効果も期待できます。

低用量ピルの避妊効果

100人の女性がある避妊法を1年間用いた場合に、避妊に失敗する確率を示す指数としてパール指数というものがあります。ピルを理想的に使用した場合のパール指数は0.3にも達します。
日本国内での臨床試験でも0~0.593と低く、コンドーム、殺精子剤、リズム 法等の避妊法と比べ圧倒的に避妊効果は高く、ミレーナや避妊手術(男性・女性)に匹敵する避妊効果が得られます。

低用量ピルの生理痛に対する効果

生理痛は、子宮の出口が狭い頸管狭小やプロスタグランジンという子宮内膜に含まれる痛みの成分が原因です。
そのため、生理の量が多いと必然的に痛みの成分であるプロスタグランジンの量も多くなり、子宮の過収縮・血管の攣縮・子宮筋の虚血などが起こり、生理痛が強くなります。

低用量ピルは生理の量を少なくしてくれるため、プロスタグランジンの量も少なくなり、たとえ子宮の出口が狭くても、子宮の過収縮などはおこりにくくなり、生理痛が改善します。

低用量ピルの月経前症候群(PMS)に対する効果

月経前症候群(PMS)とは、月経前3~10日間の黄体後期に発症する多種多様な精神的あるいは身体的症状のことです。
生殖年齢女性の約70~80%が月経前に何らかの症状を有するといわれています。

低用量ピルは、生理前のこのような症状を軽減する効果があります。
月経前症候群(PMS)に対して、とても有効的な治療方法です。
日々の学校やお仕事、ご家庭などで、生理によって日常生活が影響されないよう、低用量ピルの内服をご検討されてみてはいかがでしょうか。

低用量ピルのニキビに対する効果

低用量ピルの効果については、ニキビの数、重症度、自己評価のいずれにおいても有意に改善することが多くの研究で示されています。
アメリカのニキビ治療ガイドラインでは、エビデンスレベルならびに推奨度が最も高く位置付けられています。

ニキビの原因のひとつには、男性ホルモンの影響で脂腺が増大し、皮脂分泌が亢進すことが挙げられます。
低用量ピルには、この男性ホルモンを抑える効果があり、結果的に皮脂分泌が減り、ニキビの改善に役立ちます。

低用量ピルの子宮内膜症、子宮腺筋症に対する効果

子宮内膜症や子宮腺筋症の薬物治療では、基本的に生理を来させないようにする、あるいは生理の量を減らすことが大原則となります。

特に子宮内膜症は20歳代~40歳代にかけて好発します。
月経周期の短縮、過長月経・過多月経などがリスク因子とされており、低用量ピルはそうしたリスクを軽減することが可能です。

術後の再発予防効果も高く、術後無治療の場合では再発率29~40%であるのに対し、術後治療を受けた場合では6~11%にまで再発率を抑えることが示されました。

低用量ピルの安全性

低用量ピルは、大規模なコホート研究により、低用量ピルの長期服用で死亡率に変化がない、あるいは低くなることが証明されており、安全性の面でも低用量ピルはとても優れたお薬です。
ただし、副作用や内服にあたり注意する点も存在します。

低用量ピルの副作用

副作用としては、服用開始後から体が慣れるまで一時的に吐き気、不正出血、乳房が張るなどの症状が起こる場合があります。通常は数日から3か月以内には消失します。
それ以上続く場合には、他に原因があったり、ピルの種類があっていないケースが考えられますので、原因を検索し、ピルの種類を変更します。
また頻度としてはまれですが、静脈血栓塞栓症という重篤な副作用も存在しますので、定期的な診察を行うことが大事になります。

当院では、安心してピルを服用していただけるよう、丁寧な診察とご説明を心がけております。どんな心配事やお悩みでもお気軽にご相談ください。

当院の低用量ピル処方の流れ

  1. 24時間WEB予約あるいはお電話にてご予約ください
    まずはご予約後に受診していただきます。
    当院でのピル処方が初めての方は「初診ピル外来」よりご予約していただきます。
    すでに他院でピル処方をされている方も、こちらよりご予約ください。
  2. どの種類のピルが適しているかを決めます
    初回処方時問診チェックシートをお渡ししますので、そちらへ記入をしていただきます。
    ピルをご検討されている理由やご予算などから患者様のニーズに合った最適なピルを選択します。
    もし、ピルの内服をまだ迷われている方やピルの説明だけでも受けてみたいという方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
  3. ピルの服用開始について
    ピルの服用は、生理が始まって5日目までに開始します。
    これは服用開始時に妊娠をしていないということの証明になるのと同時に、生理5日目までに服用を開始しない場合、その周期で排卵してしまう可能性があり、確実な避妊効果が得られなくなってしまうためです。
  4. ピル飲み始めに起こりうる副作用
    服用開始後から体が慣れるまで一時的に吐き気、不正出血、乳房が張るなどの症状が起こる場合があります。通常は数日から3か月以内には消失します。
    それ以上続く場合には、他に原因があったり、ピルの種類があっていないケースが考えられますので、原因を検索し、ピルの種類を変更します。
    また頻度としてはまれですが、静脈血栓塞栓症という重篤な副作用も存在します。
    以上のことから、初めてピルを服用される方には、開始後3か月間は1か月ごとのピル処方となります。それ以降は3か月分の処方などが可能となります。
    なお、すでにピル服用中の方に関しては、当院初診であっても数か月分の処方が可能です。
  5. ピルをやめるタイミングについて
    ピル服用はいつやめても問題ありません。
    特に妊娠をお考えの方は、いつから妊娠ができるのか気になることだと思います。
    基本的にはどの種類のピルを服用されていても、3か月以内には90%以上の方で排卵が再開します。

    ただし、もともと多嚢胞性卵巣症候群などで生理不順を来たしていた方などは、ピル服用をやめた後も生理がなかなか再開しない方がいらっしゃいます。
    もしそのような方で妊娠をお考えの場合には、排卵誘発剤を使って排卵を促します。
    さらに、その他に不妊症の原因がないかを調べる必要があります。

当院では「英ウィメンズクリニック」と連携し、不妊症検査や治療を行っております。

ここからはQ&Aで分かりやすく解説していきます。

Q1. 低用量ピルに興味はありますが、服用するか、迷っています……。

低用量ピルは日常生活をより良くするためのものです。
ミレーナとともに非常に多くの女性に使用されている避妊方法であり、生理痛や生理前症候群(PMS)までも改善してくれます。
特にヨーロッパでは3~5人に1人は低用量ピルを服用しており、世界的にも最もポピュラーなお薬です。

低用量ピルにご興味があるようでしたら、どんな疑問や質問に対しても丁寧にご説明いたしますので、ひとりで悩まずに、お気軽にご相談ください。

Q2. 低用量ピルは内服できないと言われたことがあります。他に良い方法はありますか?

なかには、低用量ピルを処方できない患者様もいらっしゃいます。
当院でもガイドラインに準じて、40歳以上の方、1日15本以上喫煙される方、(閃輝暗点などの)前兆を伴う片頭痛のある方、その他ガイドラインで処方が禁じられている方には処方を控えさせていただいております。

ただし、このような方にも安心して服用していただける黄体ホルモン製剤や服用の必要がないミレーナなどが存在します。
まずはご相談いただき、ご自身に合った最良の治療方法を見つけましょう。

Q3. 毎日服用できるか心配です。何か良い方法はありますか?

毎日忘れずにピルを服用することは最初は難しいかもしれません。
ですが、ご自身の生活パターンに合ったタイミングで、毎日同じ時間帯に服用していただければ、一日の中でいつ服用していただいても問題ありません。
ピルを服用する時間にアラームをセットしたり、歯磨きセットの横に置いたり、台所に置いておいたり、必ず一度は目に入る場所に置いておくことがコツかもしれません。

それでも学校やお仕事、ご家庭の中で忘れてしまうようでしたら、ミレーナがおすすめです。一度装着すると最長5年間効果を持続することが可能で、日々の内服も必要ありません。

Q4. 服用を忘れた場合の対処法を教えてください。

1か月に1回以上服用を忘れてしまう方の割合は、研究によっては80%以上とも言われています。
以下に飲み忘れた場合の対処法をお示しします。

・1錠の服用を忘れた場合
(直前の実薬服用から48時間未満経過した場合)
→飲み忘れた錠剤をなるべく早く服用する
→残りの錠剤は予定通りに服用する(同じ日に2錠服用してもよい)
→追加の避妊法は必要ない
→アフターピルは通常必要ないが、同じ周期にすでに飲み忘れがある場合、もしくは前の周期の最終実薬週に飲み忘れがある場合には、検討してもよい

2錠以上の服用を忘れた場合
(直前の実薬服用から48時間以上経過した場合)
→飲み忘れた錠剤のうち直近のものをなるべく早く服用する
→残りの錠剤は予定通りに服用する(同じ日に2錠服用してもよい)
→コンドームなど追加の避妊法を使用するか、または7錠以上連続して服用するまでは性交を避ける
→第1週に飲み忘れ、かつ直前5日以内に性交を行った場合には、アフターピルを検討する
→第3週に飲み忘れた場合には、休薬期間を設けず、現在のシートの実薬を終了したらすぐに次のシートを始める

Q5. 性感染症の予防効果はありますか?

性感染症に対する予防効果はありません。
そのためコンドームを使わない性交がある場合には、定期的に性感染症検査を受けることを推奨します。
特に、予定している消退出血以外に異常子宮出血がみられる場合には、性感染症の可能性がありますので、注意しましょう。

Q6.静脈血栓塞栓症とはどのようなものですか?

ピルの重篤な副作用に静脈血栓塞栓症という疾患があります。
生殖可能年齢女性においてピル非使用の場合の静脈血栓塞栓症の発症頻度は、1年間の中で1~5/10,000の確率ですが、ピル使用の場合では1年間の中で3~9/10,000の確率となり、わずかに増加します。

一方、ピルとは関係なく、妊娠中の女性では1年間の中で5~20/10,000の確率となり、産後12 週間では40 ~65/10,000の確率となります。
たしかにピルの服用で静脈血栓塞栓症のリスクはわずかに上昇しますが、妊娠中や産後のリスクと比べるとかなり低いことが分かります。
また静脈血栓塞栓症のリスクは、ピル服用開始後4か月以内に多く認められ、中止後3か月以内には非服用者のレベルまで戻るとされています。

静脈血栓塞栓症は命にもかかわる非常に危険な病態であるため、定期的な診察やご自身の自覚症状がとても重要です。

・静脈血栓塞栓症で起こりうる症状
激しい腹痛
激しい胸痛、呼吸困難
激しい頭痛
視野の障害、言語障害、意識障害
ふくらはぎの痛み、熱感増加や皮膚の発赤

これらの症状が現れたらただちに内服を中止し、病院を受診してください

まとめ

低用量ピルは、日常生活の質をとても良くしてくれるお薬です。
生理にまつわる様々な症状を改善し、非常に高い避妊効果があります。

当院では、いくつもあるピルの中から、さらにはピル以外の方法の中から、ご自身に合った最良の治療方法をご提案いたします。

お一人で悩まずに、まずはお気軽にご相談ください。