無痛人工妊娠中絶

予期せぬ妊娠で、様々な事情により妊娠の継続が難しい方もいらっしゃると思います。

日本における人工妊娠中絶手術は妊娠週数によって「初期中絶(妊娠12週未満)」と「中期中絶(妊娠22週未満)」に分かれており、手術法や手続きが異なります。
初期中絶手術は「子宮内の内容物を除去する手術」となり、出血など合併症リスクが少なく済む一方で、中期中絶手術では出産と同じように「分娩」が必要となり、母体への危険度も増します。人工妊娠中絶手術を選択せざるを得ない場合には、できるだけ母体への負担の少ない妊娠12週までに行うことが望ましいとされています。

当院では、妊娠12週未満の方に対して、WHO(世界保健機構)で推奨されている「吸引法」による「初期中絶手術」を行っています。
従来からある「EVA(電動吸引法)」だけでなく、よりお体への負担が少ないMVA(手動吸引法)を選択することも可能であり、さらに静脈麻酔を使用するので「無痛で子宮に優しい中絶手術」をお受けいただけます。
また、プライバシーに配慮した空間をご用意して、患者さまに寄り添った診察・手術を行っております。
中絶手術にご不安やご心配などありましたら、お一人で悩まず、お気軽に当院までご相談ください。患者さまにとって、後悔のないご決断ができるようサポートさせていただきます。

人工妊娠中絶とは?

人工妊娠中絶は、母性の生命健康を保護する目的の「母体保護法」によって「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその付属物*1を母体外に排出すること」と定義されています。
*1胎児付属物:胎盤、卵膜、臍帯、羊水のこと

母体保護法に基づく人工妊娠中絶手術

日本では母体保護法*2に基づいて、人工妊娠中絶を行うことができるのは、「医師会の指定する医師(指定医師)のみ」と規定されています。さらに本人及び配偶者の同意を得て、指定医がいる医療機関でのみ中絶手術が実施可能です。

また、同法(母体保護法)の中で人工妊娠中絶手術を実施することのできる時期を「妊娠22週未満」と定めています。週数により手術方法およびその後の手続きなどが異なります。
*2(参考)母体保護法

  • 初期中絶
    実施可能時期:妊娠12週未満(妊娠4週~妊娠11週6日まで)
    実施方法:吸引法/掻爬法(そうはほう) 
    入院の有無:不要(日帰り手術)
    行政手続き:不要
  • 中期中絶
    実施可能時期:妊娠12週~妊娠22週未満(妊娠21週6日まで)
    実施方法:人工的に陣痛を起こし流産させる方法
    入院の有無:必要(数日間入院)
    行政手続き:死産届の提出、胎児に埋葬許可証の入手

上記の通り、中絶を選択せざるを得ない場合には、できるだけ早く(妊娠11週までに)ご決断された方が身体的・精神的な負担および経済的な負担も少なく済みます。

しかしながら、中絶に対する不安・心配が募り、深く悩まれる方もいらっしゃることでしょう。
当院では「母体保護法指定医」の認定を受けた医師による「中絶相談」をお受けしております。ご希望の方は、24時間WEB予約もしくはお電話にて、お気軽にご相談ください。

「吸引法」と「掻把法(そうはほう)」の違い

初期中絶手術には、「吸引法」と「掻把法(そうはほう)」の2種類があります。
掻把法と比べて、吸引法は子宮に穴が開く「子宮穿孔(しきゅうせんこう)」や、胎児・胎盤・卵膜などが子宮内に残る「子宮内遺残」などの合併症リスクが少なく、母体への負担を抑えることができるとされており、2012年からWHOに推奨されています*3。

*3(参考)第38回日本産婦人科手術学会 セミナー記録集

日本では古くから掻把法が主流でしたが、こうした国際的な動向によって日本でも少しずつ吸引法に対応する医療機関が増えてきており、当院でも吸引法を採用しております。

吸引法

吸引法はEVA法とMVA法の2種類があり、ストローのような器具(カニューレ)で子宮内の内容物を吸い出します。

メリット:WHOで推奨されている方法、体への負担が少ない(合併症リスクが少ない*4)、子宮を広げる前処置不要、麻酔下で行うので痛みが少ない
*4(参考)妊娠12 週未満の人工妊娠中絶手術による合併症頻度|日本産婦人科医会

デメリット:日本でも近年実施件数は増えてきているが、実績のあるドクターがまだ少ない

EVA法(Electric Vacuum Aspiration:電動吸引法)

金属製カニューレと電動ポンプで吸い出します。MVA法よりもコストを抑えることが可能です。

MVA法(Manual Vacuum Aspiration:手動吸引法)

柔らかく、しなやかなプラスチック製カニューレを使用して、手動でポンプを操作して、吸い出します。
EVA法と比べて、挿入時の痛みが少ない上、手動なので吸引力の微妙な調整が可能です。より短い時間で手術が行えるので、子宮頸管や子宮内膜の損傷リスクを最小限に抑えた手術が可能です。
また、MVA法では使い捨ての器具を使用するので、感染リスクも最小限に抑えられます。

掻把法(そうはほう)

掻把法は昔から行われていた中絶方法で、スプーン上の器具・鉗子(かんし)*5で子宮内容物を掻き出す方法です。
*5鉗子:はさみのような形をして、組織を挟むための外科用手術用具。
  
メリット:器具を使って手で掻き出すので術者にとっては子宮内の状態を把握しやすい、日本では主流の方法、手術器具の洗浄・消毒が容易

デメリット:子宮内膜を傷つける・出血が多くなるなど合併症リスクがある、痛みを伴う前処置を必要とするケースが多い、吸引法と比べて子宮内遺残の発生率が高い、子宮変形があると手術時間が長くなりやすい

  吸引法 掻爬法
(そうはほう)
EVA
(電動吸引法)
MVA
(手動吸引法)
特徴 WHO(世界保健機構)で
推奨された方法
従来から日本で
主流の方法
手術 金属製カニューレを子宮内に挿入して、電動で内容物を吸い出す 柔らかいプラスチック製カニューレを子宮内に挿入して、手動で調整しながら内容物を吸い出す スプーン上の器具・鉗子を使って、内容物を掻き出す
手術時間 15分程度 5分~10分程度 15分程度
術前処置の有無 不要 子宮口を広げる処置が必要な場合がある
痛み 静脈麻酔下で行うため、痛みはほとんどない 静脈麻酔下で行うため、痛みはありません
※EVAと比べて、体に優しい
前処置の際、強い痛みを感じる場合がある。
手術は麻酔下なので痛みは少ない
合併症リスク 少ない 吸引法と比べて、やや高い
(表)初期中絶手術の方法と違い

<参考>経口中絶薬

WHOでは中絶ガイドラインの中で手術(外科的中絶)のほかに、「経口中絶薬」を安全で効果的な中絶方法として推奨しています*6。
*6(参考)中絶ケアガイドライン|WHO ※英文記事


さらに、妥当な価格で広く使用されるべき薬として、風しんやインフルエンザワクチン同様に経口中絶薬を「必須医薬品」に指定しています。

経口中絶薬は1980年頃フランスで初めて承認され、日本でも2021年12月に英国の製薬会社より厚生労働省に承認申請が行われ、2023年4月28日ミフェプリストン及びミソプロストール製剤が、子宮内妊娠が確認された妊娠63日(妊娠9週0日)以下の者に対する人工妊娠中絶、を効能又は効果として製造販売承認されました。

経口中絶薬は9週までの妊娠初期に2種類の薬(妊娠の維持に必要なホルモンを抑える薬/子宮収縮を促す薬)を服用することにより、子宮内の内容物を排出させます。
手術を行わない選択肢として母体への負担や経済的負担を抑えることが期待できますが、腟からの出血・頭痛・腹痛・発熱・下痢・吐き気・めまいなどの副作用もみられます。また、国内治験によると、中絶成功率は93.3%と報告されています。

ただし、経口中絶薬は子宮外妊娠には効果はなく、卵管破裂の恐れがあります。さらに、時として手術が必要となるような大量出血のリスクもあるため、海外でも医師の処方や経過観察が必要なお薬とされています。
「親にバレない」「手術より安い」「病院に行かずに済む」などの理由から、安易に個人輸入やネット通販で入手して自己判断で使用することは大変危険*7であり、一般人による堕胎は刑法上「自己堕胎罪」として法律で罰せられます。

*7(参考)個人輸入される経口妊娠中絶薬(いわゆる経口中絶薬)について|厚生労働省

「妊娠したかも?」と思ったら、ご自身のために必ず婦人科をご受診ください。

当院の人工妊娠中絶手術の特徴

痛みを伴う前処置が不要

当院では「吸引法」を採用しているため、子宮口を広げる必要はありません。
そのため、掻把法では必要となることが多い、強い痛みを伴う前処置が不要です。

体に優しい無痛麻酔

当院の人工妊娠中絶手術は、静脈から点滴で麻酔を入れる「静脈麻酔」にて手術を行います。静脈麻酔は呼吸管理が必要な全身麻酔とは異なり、自発呼吸をして眠った状態となります。寝ている間に手術を行うので、術中の痛みや恐怖心を感じることはありません。
また、麻酔の効き方には個人差がありますが、患者さまの状況に合わせて麻酔の量を調節させていただいておりますので、術中、痛みが続くことはありません。
ご不明な点や心配事がありましたら、お気軽にご相談ください。

短時間で手術終了

吸引法は合併症リスクや体への負担が少ないので、短時間での手術が可能です。
術中、特に問題がなければ、EVA法では15分程度、MVA法であれば5分~10分で手術が終了します。
※術後、麻酔の影響がなくなるまで回復室で30分~1時間程度お休みいただいています。

診察日当日の手術にも対応可能

当院では、初診時に問診・診察・術前検査(血液検査)を行っております。
できるだけ通院頻度が少なく済むよう、診察日当日の手術にも対応しております。
ご希望の方は確認事項などありますので、事前にお電話にてお問い合わせください。

中絶手術と同時の避妊対策も可能

当院では、中絶手術と同時にミレーナ(子宮内避妊器具)挿入を行うことも可能です。(術後1週間後の再診時に挿入することも可能です)
そのほか、低用量ピルの処方を行っております。望まない妊娠を避けるため、当院では患者さまのライフスタイルに合った避妊方法をご提案しております。
※詳しくは、後述の「中絶手術後の避妊方法」をご参照ください。

中絶手術に対する同意書

日本では原則、刑法で堕胎が禁じられていますが、「母体保護法」によって、母体保護法指定医による中絶手術に限り認められています。
同法の中で原則的に本人・配偶者などの「同意書の提出」が義務付けられています。

しかし、場合によってはご本人の同意のみで手術が受けられることがありますので、お一人で悩まず、まずは当院までご相談ください。
当院では守秘義務がありますので、受診の有無・診察内容・手術内容などをご本人様の同意なしに他の方へお話しすることはありません。

同意書の必要性

母体保護法の中で「本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる」と規定されています。
ちなみに配偶者とは「法律上の婚姻関係にある方」のことを意味しますが、民法上、夫婦同様に共同生活を送っているパートナーを含むとしています。
 
こうした理由から、法律上、原則的に「配偶者またはパートナーなど相手の署名・捺印および同意書の提出」が義務付けされています。また、患者さまが未成年の場合には、原則的に保護者や親権者の同意が必要となります。
中絶手術をご検討されている患者さまでは、様々なご事情を抱えられている方が多くいらっしゃいます。
当院では患者さまに寄り添いながら、少しでもサポートできればと考えておりますので、お困りの場合にはどんなことでもご相談ください。

中絶手術で同意書がなくても手術が受けられるケース

原則的に配偶者やパートナーの同意書の提出が必要ですが、以下のケースでは同意書の提出は不要で、本人の同意だけで手術は可能としています。

  • 暴行・脅迫など、性犯罪によって妊娠した場合
  • 相手が死亡している場合
  • 相手が不明な場合
  • 相手と連絡がつかない場合

上記以外にも、配偶者やパートナーの同意書が不要となるケースがありますので、ご相談ください。

中絶手術の費用

人工妊娠中絶手術では、原則的に健康保険が適用されません。
そのため、手術費用に関わる料金は「全て自費負担の自由診療」となります。

人工妊娠中絶手術では妊娠週数が進むほど、費用は高額になります。
また、妊娠12週未満までの初期中絶は日帰り手術が可能ですが、妊娠22週未満の中期中絶となると、陣痛を誘発して分娩する必要があるため、入院手術となります。
手術費用だけでなく、入院費用や胎児の埋葬費用などもかかってくるため、初期中絶と比べて、中期中絶手術はかなり高額になります。
健康保険にご加入されている場合、中期中絶手術では保険証を提示することで「出産育児一時金制度」を利用することが可能です。

当院における初期中絶手術の費用

  • 術前検査:23,700円
    (初診料+超音波検査+性感染症検査+血液検査)
  • 手術費
    7週6日まで:98,000円
    8週~8週6日:108,000円
    9週~9週6日:118,000円
    10週~11週6日:158,000円
  • 麻酔代 24,500円
  • 術後検診は無料です
  • ご希望があれば術中麻酔下あるいは術後検診時にミレーナを挿入することが可能です
  • MVA吸引法をご希望の方
    子宮に優しいMVA吸引38,000円
  • ハイリスクのある方
    初産婦/帝王切開/喘息の既往/双胎/子宮筋腫(腺筋症)の既往がある方各10,000円
    土,日,祝日ご希望の方28,000円
    当日手術ご希望の方38,000円

どんなことでも、お気軽に当院までご相談ください。上記金額は税別表記となっております。

ご予約はお電話あるいは24時間WEB予約にて承っております。
WEB予約が埋まっている場合でも、手術のご相談や当日の手術をお受けすることが可能です。
お急ぎの方やお困りの方がおられましたら、どうぞお気軽にお電話ください。

手術の流れ

① 母体保護法指定医師による中絶相談

当院では、「妊娠したが、出産するか、あるいは手術を受けるか」を悩まれている方、中絶手術について詳しく知りたい方を対象として、母体保護法指定医による中絶相談をお受けしています。
ひとりで悩まずに、患者さまの抱えているお悩みを、どんなことでもご相談ください。

なお、中絶相談では男性パートナーとご同席されてのご相談も受け付けております。(※男性の方のみのご相談はお受けしておりません)

また、中絶相談時に診察や術前検査を行うことも可能ですので、ご希望がありましたら、お申し出ください。
そのほか、手術の流れや合併症リスク、麻酔方法、注意点などについても詳しくご説明させていただきます。

② 【初診時】診察・術前検査

初診時に診察ならびに術前検査(子宮卵巣のエコー検査・血液検査など)を行います。
診察では、最終月経・妊娠出産歴・中絶手術歴・病歴(喘息、心臓・脳の病気)・アレルギーなどをお伺いさせていただきます。
※診察日当日の中絶手術をご希望の場合には、手術は術前検査の結果後となるため、結果が出るまでお待ちいただくことになります。あらかじめご了承ください。
※初診時にお支払いを済ませておくことも可能です。お申し出ください。

③ 【手術当日】ご精算・同意書のご提出

手術当日の手術前にお支払いいただいております(現金のみ)。
また、原則的に同意書のご提出をお願いしております。
※配偶者・パートナーと一緒にご来院された場合には、院内でご記入いただいても構いません。

④ 麻酔

手術着に着替えたのち、麻酔処置を行います。
当院では、意識レベルを低下させて眠らせる「静脈麻酔」により手術を行っております。
また、麻酔がしっかり効いているか、必ず確認してから中絶手術を行っておりますので、手術中に痛みを感じることはありません。

⑤ 中絶手術

当院では、EVA法またはMVA法による吸引法にて中絶手術を行います。
術中は心電図モニターを付けて、患者さまの状態を確認しながら手術を行います。
吸引法は短時間での手術が可能であり、出血量も抑えられるため、お体への負担がより少なく済みます。

手術時間:EVA法 約15分、MVA法 約5~10分

⑥ 院内安静

中絶手術後は、麻酔の影響で少しボーっとします。そのため、麻酔の影響がなくなるまで(30分~60分程度)、プライバシーに配慮した回復室にてお休みいただきます。

⑦ ご帰宅

回復タイム終了後、ご帰宅いただけます。

⑧ 【約10日後】術後診察

手術から約10日後に子宮の状態を確認しますので、ご来院ください。   
中絶手術後、きちんと子宮内膜が再生しているかどうかを患者さまと一緒に超音波検査(エコー検査)にて確認します。
   
また、今後の避妊対策としてミレーナ挿入・ピル処方などを実施することも可能です。
そのほか、気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
※診察の結果、問題がなければ、今回以降の診察はありません。

中絶手術後の妊娠・避妊について

中絶手術を受ける方・受けた方の多くが、将来の妊娠について不安を感じられています。
手術後の妊娠・避妊について、ご説明します。

将来の妊娠について

中絶手術が妊娠確率の低下に直接影響を与えることは、ほとんどありません。
ごくまれに子宮内腔の癒着から妊娠しにくくなるケースもありますが、癒着が起こる原因の多くは「掻把法などで過度に子宮内膜を削った」「術前検査が不十分で子宮内の炎症を起こした」などによるものです。

当院で採用している「吸引法」は、WHOも推奨している手術法であり、出血や子宮内膜へのダメージが少ないことが特徴です。
特にMVA法(手動吸引法)は、柔らかくしなやかなチューブなので、子宮の形に合わせて吸引操作が行えます。さらに、手動で吸引することにより、微妙な調整が可能なので、より安全性が高く、確実に手術を行うことができます。

将来に対する漠然たる不安は、患者さまがご自身のお体の状態を把握し、理解されることが「解消の近道」となると、当院は考えております。
そのため、当院では中絶手術の約10日後に超音波検査にて子宮内膜(受精卵が着床する場所)がきちんと再生しているのかを患者さまと一緒に確認して、子宮内膜の状態を丁寧にご説明させていただきます。

当院では、お体のケアだけでなく心のケアも大切にして、患者さまが前を向いて進んでいけるようサポートして参ります。
どんな心配事やお悩みでもお気軽にご相談ください。

中絶手術後の性交渉

当院では、手術から約10日後に子宮の状態を確認するため、診察をさせていただいております。
診察時に問題がなければ、それ以降は性交渉されても構いません。

ただし、きちんと避妊をしないと、再び妊娠する可能性があります。妊娠を望まない場合には、ご自身の身体のためにも低用量ピルやミレーナなどで必ず避妊するようにしましょう。

中絶手術後の避妊方法

中絶手術後、しばらく妊娠を希望されない場合には、低用量ピルもしくはミレーナを用いた避妊方法をおすすめします。
また、低用量ピルやミレーナでは性感染症の予防はできませんので、ご心配がある方は定期的に性感染症の検査を受けましょう。

ミレーナ

ご希望があれば術中麻酔下あるいは術後検診時にミレーナを挿入することが可能です。

ミレーナは、ポピュラーな避妊方法のひとつです。
正しく装着されていれば、99%以上の避妊効果*8が期待できます。

*8(参考)ミレーナ P.9

「避妊リング」とも呼ばれ、柔らかいプラスチック製のT字型をした子宮内避妊器具のことです。

T字型の部分には合成黄体ホルモンが付加されており、子宮内に一度装着すると、最長5年間も避妊効果が得られます。
さらに、ピルのような飲み忘れや血栓症のリスクもなく、とても優れた避妊方法です。

ただし、経腟分娩の経験がない方や、もともと痛みに弱い方などは、装着時に苦痛を感じられる方がおります。
そのような方の場合には、当院ではご希望があれば、数分程度の静脈麻酔を使って寝ている間に装着することも可能です。

そして、妊娠を希望する際にはミレーナを抜去することで、妊娠可能な状態に戻ります。

詳細は「ミレーナ」のページをご確認ください。

低用量ピル

低用量ピルは、ポピュラーな避妊方法のひとつです。
正しく服用できていれば、99%以上の避妊効果*9が期待できます。

*9(参考)望まない妊娠を繰り返さないために P.4(資料01)|望まない妊娠防止対策に関する総合的研究

避妊効果に加えて、生理の量が少なくなり、生理の期間が短縮するため、生理痛が軽減します。さらにはニキビなどの肌トラブルの改善や、月経前症候群(PMS)の改善、生理不順の改善、子宮内膜症の予防・治療、卵巣がんや子宮体がんの発症リスクを低減させる効果も期待できます。

副作用としては、服用開始後から体が慣れるまで一時的に吐き気、不正出血、乳房が張るなどの症状が起こる場合があります。通常は数日から3か月以内には消失します。
それ以上続く場合には、他に原因がある場合や、ピルの種類があっていないケースが考えられますので、原因を検索し、ピルの種類を変更します。

また頻度としてはまれですが、血栓症という副作用も存在しますので、定期的な診察を行うことが大事になります。

当院では、安心してピルを服用していただけるよう、丁寧な診察とご説明を心がけております。どんな心配事やお悩みでもお気軽にご相談ください。

詳細は「ピル外来」のページをご確認ください。

まとめ

当院では、妊娠12週未満の方に対して無痛中絶手術を行っております。
身体への負担を減らし、手術時間を短縮できる「吸引法」を採用しており、さらにEVA法(電動吸引法)だけでなく、MVA法(手動吸引法)も選択いただけるため、よりご自身の身体に優しい手術を選択することが可能です。さらに静脈麻酔下で行うため、痛みを感じることなく手術を受けることができます。

予期せぬ妊娠に戸惑われ、中絶手術にかかる身体への負担、精神的なつらさなど不安なお気持ちを抱えている方、お相手・お友達・保護者にも相談できず、お一人で悩まれている方もいらっしゃると思います。

妊娠が望んだものではない場合、中絶手術を選択するべきか、出産を選択するべきかには大きな決断が必要であり、すぐに判断できず、迷われるのも当然のことです。

大事なことは、後悔のない選択をするために、正しい知識と理解をした上で判断することだと思っています。
どんなことでも結構ですので、ひとりで悩まずに、まずはご相談ください。

病院での診察には守秘義務があり、患者さまの受診に対するお問い合わせはほかの方にお話しすることは一切ありません。プライバシーに配慮した個室で診察しておりますので、安心してご来院ください。

ここからはQ&Aで分かりやすく解説していきます。

Q1.妊娠しているようですが、中絶手術をするか、迷っています……。

妊娠は人生において大変な出来事の一つです。
特に中絶手術を選択するべきか、出産を選択するべきか迷っている方にとって、心身ともに大変な思いをされていることでしょう。

後悔のない選択をするためにも、ひとりで悩まずに、まずはご相談ください。
正しい知識と妊娠に対する十分な理解をした上で、どうするべきか判断されることが大事だと思います。

そして、正しい検査を受けましょう。
本当に子宮の中に妊娠している状態なのか、妊娠週数がどこまで進んでいるのかを知ることは、ご自身の身体を守るためにとても重要なことです。

当院では、様々な理由で中絶手術を考えられている方を対象に「中絶相談」を行っております。中絶相談では、どのような方法で中絶をするのか、どのような合併症が存在するのかなど、どんな疑問や質問に対しても丁寧にご説明いたします。

Q2.中絶手術後、何日仕事を休めばよいのでしょうか?

お体に負担の少ない事務仕事などをされている方では、手術翌日からお仕事をすることも可能です。ただし、お身体を第一に考えて無理をされないことが大切です。
当院では、手術後1~3日程度は無理をせずに過ごされることをおすすめしております。

Q3.中絶手術後、いつから次の妊娠のタイミングを取ってよいのでしょうか?

術後の経過が問題なければ、基本的にはいつ次の妊娠のタイミングを取っていただいても問題ありません。

Q4.中絶手術後、いつ生理が来ますか?

ほとんどの場合、手術後1~2か月で生理が再開します。
もともと生理不順の方は、さらに遅れてくることもあります。また精神的なストレスや環境の変化で、一時的に生理不順となる方もおられます。

また、通常の生理とは状況が異なるケースもよくみられます。
例)経血量が多い・少ない、生理期間が長い・短い、予定生理日よりも早い・遅い、不正出血があるなど
手術後2か月経っても生理が来ない場合にはご受診ください。

どんな些細なことでも気になることがありましたら、当院までお気軽にご相談ください。