淋菌感染症とは?

淋菌感染症とは、グラム陰性双球菌であるNeisseria gonorrhoeae(ナイセリアゴノレア)による細菌感染症で、一般に性感染症として起こります。
女性では腟、尿道、のどなどに感染し、男性では尿道やのどに感染します。

感染原因は?

感染原因は、淋菌にかかっている人との性行為です。
近年では、オーラルセックス(口を使った性行為)による咽頭感染(のどの感染)も多く認めています。

どんな症状があるの?

自覚症状を認める場合には、数日から1週間程度で異常を認めます。
性器感染した場合の症状としては、おりものが増えたり、悪臭を伴ったり、外陰部がかゆくなったり、不正出血がおこったり、発熱や腹痛、排尿痛や外尿道口からの排膿などを認めます。
咽頭感染した場合の症状としては、のどの違和感などを認めます。
これらの症状がある方は、お早めに当院へご相談ください。

淋菌感染の特徴とは?

淋菌感染の特徴としては、自覚症状が乏しいということが挙げられます。
女性の50%が無症状であり、症状があっても軽いため放置されることが多いとされています。
男性では症状が強く、感染後数日間の潜伏期間を経て灼熱感のある尿道炎を起こし、排尿痛と外尿道口からの排膿を認めますが、男性でも約10%は無症状です。

淋菌とクラミジアの両方に感染してしまっているケースが、およそ10~30%あると言われています。淋菌とクラミジアは同時に検査を行いましょう。

淋菌感染が進行してしまったら?

気がつかないうちに淋菌の感染が進行してしまうと、子宮内膜炎や卵管炎、骨盤腹膜炎や肝周囲炎にまで炎症が広がり重症化してしまうことがあります。
この場合には、入院治療が必要になるケースもあります。さらには結膜炎や咽頭感染、直腸感染を発症するケースもあります。
重症化する前に、早期の検査と治療を心がけましょう。

淋菌感染が放置されていると?

淋菌感染が長期化すると、不妊症や異所性妊娠(卵管妊娠)の原因となってしまうことがあります。
これは淋菌感染により、卵管や卵管周囲で炎症が起き、卵管内腔や卵管周囲に癒着が生じてしまい、卵管の中を精子や卵子が通れなくなるためです。
そして受精できたとしても、卵管内腔の輸送機能が低下してしまい、うまく受精卵が子宮へ運ばれずに卵管内で着床してしまい異所性妊娠の原因となってしまうことがあります。
妊娠中の淋菌感染では、流産や早産の原因となることがあり、産道感染により新生児結膜炎きたしてしまう可能性もあります。
不妊症や異所性妊娠(卵管妊娠)、流産や早産などの原因となってしまわないよう、早期の検査と治療を心がけましょう。

検査方法(性器の場合)

子宮頸管擦過検体を専用スワブで採取し、核酸増幅法により行います。
淋菌の検出には、TMA法、核酸増幅法PCR法、SDA法等が推奨されています。
当院では、おりものを用いてTMA法により性器淋菌感染の診断をしております。

当院では性器淋菌感染に対して、「当日検査結果がわかる迅速検査」も行っております。
診察をご希望の方は、当院の24時間WEB予約かお電話にてまずはご相談ください。

検査方法(のどの場合)

咽頭検体を採取し、核酸増幅法により行います。
淋菌の検出には、TMA法やrealtime PCR法によるうがい液、SDA法やTMA法によるスワブ検体等が推奨されています。
当院では、うがい液を用いてTMA法により淋菌咽頭感染の診断をしております。なお咽頭検査には迅速検査はございませんので、あらかじめご了承ください。
※咽頭検査の1時間前から食事・飲水・歯磨きなどを控えていただく必要があります。

咽頭感染では、のどの違和感を認めることもありますが、多くは無症状です。
そして、咽頭感染はオーラルセックスを介して新たな感染源となってしまうため治療が必要です。

治療方法

軽症であれば1回の注射薬で治療が可能です。
現在のところ、耐性菌の報告がほとんどない抗菌薬であるセフトリアキソン静注、スペクチノマイシン筋注の単回投与によりほぼ確実に治療ができます。

当院での具体的な治療方法をお示しします。

  • 第1選択薬
    セフトリアキソン1gを1回静注
  • 第2選択薬
    スペクチノマイシン2gを1回筋注(殿部)


淋菌感染症は早期であれば軽症のことが多く、1回の内服治療で完治することがほとんどです。
おりもの異常や不正出血、腹痛などがあった際には、早期の検査と治療を心がけましょう。

骨盤腹膜炎や肝周囲炎のような強い腹痛を伴う重症例では、入院が必要なケースもあり、上記薬剤を数日間行うこととなります。

治癒判定方法

治療後2~3週間以上あけて治癒判定を行います。
陰性を確認できれば、治療終了となります。

パートナーの検査&治療

当院では、男性の方も淋菌検査を受けることができます。
パートナーの方と一緒に来院し、検査と治療を受けていただくことを推奨しています。
淋菌は、男女どちらか一方が未治療であれば再び感染してしまう性感染症です。
そのため、一緒に検査を受け、治療されることをおすすめ致します。

ここからはQ&Aで分かりやすく解説していきます。

Q1.淋菌にかかるとどのような症状がありますか?

女性の50%はあまり症状がないと言われています。ただし症状を認めるケースもあり、おりものが増えたり、悪臭を伴ったり、外陰部がかゆくなったり、不正出血、発熱や腹部の痛み、排尿痛や外尿道口からの排膿などがあります。

Q2.感染してからどのくらいで症状がでますか?

自覚症状を認める場合は、数日から1週間程度で異常を認めます。

Q3.感染しているか心配ですぐに検査結果を知ることはできますか?

性器淋菌感染症は20~30分で結果が分かる迅速検査が可能です。
こちらは自費検査となります。

Q4.淋菌にかかってしまったのですが、同居している人にはうつらないですか?

淋菌は基本的には性行為(オーラルセックスを含む)によって感染します。ただし、浴場やタオルなど淋菌の長時間生息可能な環境を介した感染の報告もあり、水平感染が蔓延しないよう使うタオルを分けたり、お風呂は最後に入るなどの工夫を心がけましょう。

Q5.彼氏が淋菌と診断されました。私は症状がないのですが、検査は必要ですか?

ご自身も検査を受けましょう。
淋菌感染症の50%の方は無症状です。
性交渉による淋菌の感染率は非常に高いため、パートナーの方が感染している場合、ご自身も淋菌に感染している可能性が高いと考えられます。
まずは当院へご相談ください。

Q6.彼氏と一緒に検査を受けることはできますか?

可能です。
当院では、男性の方も淋菌検査を受けることができます。
パートナーの方と一緒に来院し、検査と治療を受けていただくことを推奨しています。
淋菌は、男女どちらか一方が未治療であれば再び感染してしまう性感染症です。
そのため、一緒に検査を受け、治療されることをおすすめ致します。
ただし、男性お一人での受診はできませんので、ご注意ください。