性別不合とは

性別不合とは、身体の性と心の性が一致しないことをいいます。

身体の性は染色体によって決定されることが分かっていますが、心の性は染色体ではないところで決まることが研究されています。

身体が女性で心が男性の場合にはFTM(female to male)と呼ばれます。

そして、身体が男性で心が女性の場合にはMTF(male to female)と呼ばれています。

近年では、性の多様性の1つとして考えるようになっており、国際疾患分類が改訂され、性同一性障害ではなくは「性別不合」として変更されています。

当院での性別不合の治療法   

FTM治療に対応している施設が少なく、遠方まで毎月何度も受診されている患者様のご相談の声を受け、当院では約3ヶ月に1回の注射治療が可能な、高い効果と少ない副作用が期待できる長時間作用型男性ホルモン注射薬(リアンドロン1000mg)を接種することが可能となりました。

そのため基本的に当院での治療は、FTMの方で、すでにホルモン治療が安定しており、リアンドロン1000mg(長時間作用型男性ホルモン注射薬)をご希望される方が対象となります。

初診時には必ず「診断書あるいは紹介状が必要」です。

コントロール不良なケースでは必ず専門施設への受診をしていただくようお願いしております。

FTMの方のホルモン治療 

当院ではリアンドロン1000mgという長時間作用型男性ホルモンを筋肉注射します。

一般的な男性ホルモン(テストステロン)注射薬の投与間隔が2週間に1回なのに対し、リアンドロンは約3ヶ月(12週間)効果が持続するため、エナルモンデポーなどで効果が感じられない方や頻回の受診が難しい方などにおすすめの治療薬となります。

また長時間作用型男性ホルモンであるリアンドロンは、血中のホルモン濃度が安定して推移するため、短期間作用型の薬剤と比べ、イライラ感などの精神的な副作用が少ないのも特徴です。

効果

  • ひげや体毛の増加
  • 声が低くなる
  • 月経停止
  • 体格の男性化・体重増加
  • 体脂肪の男性化(皮下脂肪から体脂肪へ変化)
  • 性欲亢進など

男性ホルモンを投与すると、月経が停止しますが、女性ホルモンが減少して起きる更年期障害のような症状(発汗・ほてり)が出ることはほとんどありません。

治療を継続していると、男性ホルモンの影響でひげや体毛が濃くなり理想の男性らしい体形になっていきます。

副作用

  • にきび
  • 肝機能障害
  • 体重増加
  • コレステロールの上昇
  • 頭髪の減少
  • 皮膚の乾燥
  • 多血症など

男性ホルモンの上昇に伴って、にきびが発生しやすくなります。

思春期のニキビと同様に、男性ホルモンが増えることで皮脂の量が増えるためです。

さらに頭髪の減少やコレステロール異常もみられることがあります。

また多血症といって赤血球が異常に増加してしまう場合があります。多血症になると血管が詰まってしまう、いわゆる血栓症を起こしてしまうことがあり注意が必要です。

「赤血球」「ヘモグロビン」「ヘマトクリット」などの値をみて診断し、基準値より高い場合には、投与間隔を空けたり、投薬を中止します。自覚症状はあまりないことが多く、頭痛、めまい、倦怠感などを認める場合もあります。

そしてコントロール不良な方、副作用が出て投薬を中止しなければならない方などは、専門施設への受診をお願いしております。

ホルモン療法が難しい方

当院では、下記の疾患や症状がある方にはホルモン治療ができません。

  • 心臓、脳、腎臓、肝臓疾患などの既往がある
  • 重度の肝臓障害がある
  • ガンの既往がある
  • 抗凝固剤を投薬中である
  • 血液系疾患の方
  • 糖尿病、高血圧、脂質異常の方
  • 抗精神病薬を多数内服中の方

など

料金

リアンドロン1000mg(4ml):30,000円(+税)

投薬方法

投薬方法:臀部に筋肉注射

期待される効果持続期間:約3ヶ月(12週間)

*個人差により3ヶ月以上効果が持続する方もおります

最後に

リアンドロンは長時間作用型男性ホルモン注射薬としてよく知られている薬剤です。

血中ホルモン濃度も安定することが多く、副作用が少ないことでも知られています。 継続したホルモン治療をご希望の方は、診断書あるいは紹介状を持って当院までどうぞお越しください。