HIVとは?
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、主に血液や体液を通じて感染し、体の免疫機能を徐々に破壊するウイルスです。進行すると、さまざまな感染症やがんを引き起こす「エイズ(AIDS)」を発症することがあります。
現在では治療の進歩により、HIV陽性でも早期に治療を開始すれば、エイズを発症せずに健康な生活を送ることが可能です。だからこそ、早期発見のための検査が非常に重要です。
HIVの感染経路
HIVは、以下のような経路で感染する可能性があります:
- 性行為(コンドームを使用しない場合の腟・肛門・口腔性交)
- 注射器や針の共用(薬物使用など)
- 母子感染(妊娠中・出産時・授乳時)
※日常生活(握手、会話、同じトイレの使用など)で感染することはありません。
HIVの症状
● 初期症状(感染後2〜6週頃)
発熱、喉の痛み、倦怠感、発疹、リンパ節の腫れなど
風邪に似た症状が数日〜数週間続くことがあります
● 無症候期(数年〜10年以上)
自覚症状がなく、感染に気づかない人がほとんどです
● 進行期(免疫力低下・エイズ期)
頻繁な感染症(肺炎・カンジダ症など)
体重減少、慢性下痢、長期発熱、悪性腫瘍 など
HIV検査について
どうして検査が必要なの?
HIVは初期に自覚症状がほとんどないため、感染していても気づかないケースが多くあります。
自分自身と大切なパートナーを守るためにも、定期的な検査が重要です。
検査方法と特徴
- 抗体検査(HIV抗体検査)
HIVに感染すると、体内で「抗体」が作られます。この抗体の有無を調べる一般的な検査です。
方法:採血
判定時期:感染から約4週間以降、確実な判定は12週以降
特徴:保健所や多くの医療機関で実施される標準的な検査 - 抗原・抗体同時検査(第4世代検査)
HIV感染初期に現れる「p24抗原」と「抗体」を同時に調べる検査です。
方法:採血
判定時期:感染から2〜4週間以降
特徴:従来の抗体検査より早く結果が出るため、感染早期の検査に適しています - 核酸増幅検査(NAT検査/PCR法)
HIVウイルスの遺伝子を直接検出する高精度な検査です。
方法:採血
判定時期:感染から10日〜2週間
特徴:最も早期に感染を確認できるが、保険適用外のことが多く自費検査が一般的です
検査方法比較表
検査方法 | 判定可能時期 | 精度 | 特徴 |
---|---|---|---|
抗体検査 | 約4〜12週後 | 非常に高い | 最も一般的、検査体制が広い |
抗原・抗体同時検査 | 約2〜4週後 | 非常に高い | 早期発見に有効な最新検査 |
NAT検査(PCR) | 約10日〜2週後 | 極めて高い | 最速で検出可能、費用高め |
当院では抗原・抗体同時検査を行わせていただいております。
検査の流れ(当院での例)
問診と同意
検査内容のご説明を行い、プライバシー保護に配慮した形で同意をいただきます。
採血
検査方法により、必要量の血液を採取します。
検査結果のご報告
最短即日~数日で結果をご案内。
必要に応じて医師から直接説明を行います。
必要に応じてカウンセリング・治療連携
陽性の場合も、専門の医療機関と連携し、適切な治療を開始できるようサポートします。
どんなときに検査を受けるべき?
- コンドームなしの性行為をした
- 相手の感染状況が不明
- パートナーが複数人いる
- 過去に性感染症の経験がある
- 妊娠中または妊娠希望
- HIV陽性のパートナーがいる
TIPS:
アジアでは近年HIV患者での梅毒が増加しています。日本でも梅毒とHIVの重複感染が10~20%の間で報告されています。梅毒陽性の場合には、HIV検査も受けることが推奨されます。
よくあるご質問(Q&A)
Q. 検査は痛いですか?
A. 通常の採血と同様の痛みです。指先採血はさらに軽い刺激で済みます。
Q. 結果はすぐ分かりますか?
A. 検査方法により異なりますが、当日〜数日以内に判明します。
Q. 検査したことが他人に知られませんか?
A. 当院ではプライバシーを厳守しています。
Q. 陽性だったらすぐにエイズになりますか?
A. いいえ。HIV陽性=即エイズではありません。治療により発症を防ぎ、通常の生活を送れます。
Q. HIV感染が進行してしまったら?
A. HIV感染が進行し、エイズを発症すると、さまざまな重篤な感染症や腫瘍が発生し、生命に関わる危険な状態となります。免疫力が極端に低下するため、通常の風邪や肺炎も重症化しやすくなります。
しかし、現在では抗HIV療法(ART:抗レトロウイルス療法)が進歩し、適切な治療を受けることでエイズ発症を防ぎながら、長期的に健康を維持することが可能になっています。
Q. HIV感染が放置されていると?
A. HIV感染を放置すると、免疫力が著しく低下し、さまざまな合併症が発生します。特にエイズを発症した場合、命に関わる感染症や悪性腫瘍のリスクが高まります。
また、妊娠中のHIV感染は母子感染のリスクを伴いますが、適切な治療を行うことで母子感染をほぼ完全に防ぐことができます。
HIVは早期発見と適切な治療が重要な感染症です。感染の可能性がある場合は、早めに検査を受け、医療機関で適切な対応を行いましょう。
まとめ
HIVは、正しい知識と早期の検査によって、予防・管理が十分に可能な感染症です。
「もしものときのために」「パートナーのために」──少しでも不安を感じたら、検査を受けることが第一歩です。
当院では、プライバシーに配慮した安心の検査体制をご用意しています。
ご予約・ご相談は、お電話またはWEB予約からお願いいたします。