更年期症候群とは

閉経前の5年間と閉経後の5年間をあわせたおよそ10年間を「更年期」といいます。

更年期には様々な症状(更年期症状)が現れますが、特に症状が重く日常生活に支障をきたすような状態を「更年期障害」といいます。

主な原因

主な原因は女性ホルモン(エストロゲン)が大きくゆらぎながら低下していくためです。卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌が不安定になることで、脳の視床下部や下垂体といったホルモン調整の中枢が混乱し、自律神経のバランスが崩れます。

さらには、加齢によるからだの変化や、精神的・心理的な要因、家庭や職場などの社会的要因が、複合的に影響して、更年期障害を発症すると考えられています。

主な症状

更年期障害の症状は個人差が大きく、からだと心の両面に様々な影響が出ます。

代表的な症状としては、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、発汗)、手足の冷え、動悸、不眠、イライラ、落ち込み、憂うつ感、疲れやすい、肩こり、腰痛、めまい、耳鳴りなどが挙げられます

からだの症状

ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗、めまい、動悸、頭痛、肩こり、背中や腰の痛み、関節痛、冷え、むくみ、しびれ、疲れやすさなど

こころの症状

気分が落ち込む、意欲低下、イライラする、情緒不安定、不眠など

産婦人科だけではなく、内科、整形外科、耳鼻科、心療内科などへの受診も推奨されます。

必要な検査

更年期障害の症状は多岐にわたるため、その背景に深刻な病気が隠れていないか確認しておくことが大切です。

血液検査

エストラジオール(E2)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、男性ホルモン(テストステロン)、甲状腺ホルモン(FT4、TSH)などの検査を行います。特に甲状腺機能が低下していると、更年期障害と似た症状が現れることがあるため、甲状腺機能異常がないかは非常に重要な検査です。

超音波検査

超音波を使い、子宮や卵巣などの骨盤内の病気がないかを確認します。

場合によっては、ホルモン治療が推奨されないケースもあり、病気の除外が必要です。

その他にも必要と判断されれば、子宮頸部細胞診などのがん検査を行います。

鑑別すべき疾患

更年期症候群と似た症状を示す疾患も多く、症状が更年期障害によるものか、他の病気によるものかを鑑別するために、甲状腺疾患や他の婦人科系の病気など調べる必要があります。

バセドウ病、うつ病、睡眠時無呼吸症候群、貧血、悪性腫瘍、膠原病、その他器質的疾患などがあげられます。

治療方法

更年期症候群の治療は、症状の程度・背景に合わせて複合的に行います。

プラセンタ療法 

更年期障害の緩和にはプラセンタのもつホルモンを調整する内分泌調整作用や、自律神経を調整する自律神経調整作用などがあります。当院では自費にて取り扱っており、最大4A/回まで投与可能です。詳しくは美容内服/注射・点滴をご確認ください。

漢方薬

自然な形で体のバランスを整える治療法として、当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸などがあります。

ホルモン補充療法(HRT)

減少したエストロゲンを補う治療で、ほてり・発汗などに高い効果があります。

塗り薬や内服薬などの方法があり、年齢やリスクに応じて選択します。

最後に

更年期はだれでも訪れる自然な変化の一つですが、つらい症状を我慢する必要はありません。

日常生活に支障を感じるようであれば、ぜひ一度ご相談ください。

当院では丁寧な診察と的確な検査を行い、お一人お一人に合った治療法をご提案いたします。