腟トリコモナス症とは？

腟トリコモナス症とは、鞭毛虫類に属する腟トリコモナス原虫（Trichomonas vaginalis）によって引き起こされる炎症性疾患で、腟、外陰を中心に発症する性感染症のことです。

どこに感染するの？

腟トリコモナス原虫は、腟内以外の尿路やバルトリン腺、スキーン腺などにも定着することがあります。女性の腟粘膜上に寄生し、栄養であるグリコーゲンを体表から吸収するため、腟内の乳酸菌（ラクトバチラス属）が枯渇し、腟炎を引き起こしてしまいます。

感染原因は？

感染原因は、腟トリコモナス原虫をもった方との性交です。
また腟トリコモナスは性行為以外にも、下着やタオルなどの衣類、便器、浴場などからの感染経路もあり、性交経験のない女性や幼児にも感染がみられるケースがあります。

どんな症状があるの？

自覚症状を認める場合には、数日～1か月以上経ってから症状が出ることが多く、なかには半年近く経ってから症状が出現する方もいます。症状としては、外陰部のかゆみ、悪臭、泡沫状のおりものや灰色～黄白色のおりものが増えたり、腟壁の発赤や子宮腟部の溢血性点状出血などを認めます。これらの症状がある方は、お早めに当院へご相談ください。

およそ10～20％の方は無症状であるため注意が必要です。

検査方法

検査は、顕微鏡下で腟トリコモナス原虫がいるかを確認します。
トリコモナス原虫が見つかれば確定診断となります。

ご希望の方は当院の24時間WEB予約かお電話にてまずはご相談ください。

治療方法

トリコモナス腟炎の治療には、5―ニトロイミダゾール系の薬剤であるメトロニダゾールとチニダゾールを用います。尿路等への感染も考慮して、経口薬による全身投与を原則とします。まずはメトロニダゾールの内服を第一選択とし、治療抵抗性の場合にはチニダゾールへの変更を試みます。また内服剤の服用コンプライアンスが良くない場合にはチニダゾールの単回投与という選択肢もあります。その場合、日本ではチニダゾール2,000mgの単回投与のみが保険適用とされています。

当院での具体的な治療方法をお示しします。

トリコモナス腟症はきちん治療されれば完治することがほとんどです。
外陰部のかゆみ、おりもの異常、陰部の違和感などがあった際には、早期の検査と治療を心がけましょう。

なかなか治癒しない方

なかなか治癒しない難治症例の方の中には、きちんと内服ができていなかったり、パートナーの方からの再感染の可能性もありますので、注意しましょう。
男性では女性に比べ腟トリコモナス原虫の検出率が低いため、男性の方は陰性と判定されることがあります。パートナーの方にも同じタイミングで同様の内服治療を行うことが原則となります。

トリコモナス治療薬の注意点

投与中および投与後3日間の飲酒は避けるようにしましょう。副作用として、ニトロイミダゾール系薬剤内服治療中の飲酒により、腹痛、嘔吐、潮紅などの症状が現れることがあります。
また日本の添付文書にはメトロニダゾール・チニダゾールともに、妊娠中は有益性投与で妊娠3か月以内は投与しないこととされています。そのため妊娠3か月以内の方や妊娠の可能性のある方には腟錠での治療を選択します。

治癒判定方法

治療後2～3週間以上あけて治癒判定を行います。
また残存する腟トリコモナスが月経血中で増殖することがあるため、次回月経後にも原虫消失の確認をすることが望ましいとされています。これで陰性を確認できれば、治療終了となります。

ここからはQ＆Aで分かりやすく解説していきます。