当院では、低用量ピルやミニピル処方の方に対して、極力待ち時間を減らした「ピル外来」をおこなっております。
ラベルフィーユ、ファボワール、トリキュラー、マーベロン、ミニピルをすでに内服中の方であれば、当院受診が初めての方でも、再診の方でも、ご予約なしで処方することが可能です。
ラベルフィーユ、ファボワール、トリキュラー、マーベロン、ミニピルは最大12シート処方可能です。
低用量ピルが何らかの理由(40歳以上、喫煙、前兆を伴う片頭痛、授乳中など)で服用できない方でも、内服可能なミニピル(アザリア)も取り扱っております。
自費ピルの他にも数多くの保険ピルの取り扱いもございますので、お気軽にご相談ください
ピルの比較
ミニピル
ミニピルは、女性ホルモンであるエストロゲンを含まない、プロゲステロン単独のピルです。 血栓症のリスクがほとんどないことから、年齢や体質などの制限が少なく、低用量ピルが飲めなかった方でも服用できる方が多くおられます。
低用量ピル
低用量ピルは、エストロゲンとプロゲステロンの両方を含むピルです。 ニキビの改善などにも優れており、毎日決められた時間に服用することで高い避妊効果も期待できます。
アフターピル
アフターピルとも呼ばれる緊急避妊薬です。 避妊に失敗した場合に用いられます。 ピルを服用し忘れた、コンドームが破けたなどの可能性がある場合に服用されます。 緊急避妊薬には、排卵や着床を阻害する働きがあり、避妊失敗の72時間以内と120時間以内に効果がある2種類のアフターピルがあります。
主な避妊法
| 避妊率 | 主な特徴 | メリット | |
|---|---|---|---|
| ミレーナ(IUS) | 99.8% | 子宮内にT字型デバイスを装着し、ホルモンを局所放出 |
高い避妊効果
5年間効果が持続
月経量痛みも軽減
飲み忘れがない
|
| 低用量ピル | 99%超 | 毎日服用しホルモンを制御 |
月経トラブルの改善
美肌効果も期待
自分で管理できる
|
| ミニピル | 99%以上 | 排卵を起こさないようにする仕組みで妊娠を予防 |
月経が無くなる
生理痛の軽減
|
| コンドーム | 約85%(使用ミスを含む) | 装着によって物理的に精子を遮断 |
安価で入手しやすい
性感染症の予防にも 有効
|

低用量ピルとは?
低用量ピルは、最も優れた避妊方法のひとつです。
正しく服用できていれば、99%以上の避妊効果が期待できます。
そして最大の特徴は、避妊効果に加えて、生理痛を軽減できるということです。
これは生理の量を少なくし、生理の期間が短縮されるためです。
さらにはニキビなどの肌トラブルの改善や、月経前症候群(PMS)の改善、生理不順の改善、子宮内膜症の予防・治療、卵巣がんや子宮体がんの発症リスクを低減させる効果も期待できます。
低用量ピルの避妊効果
100人の女性がある避妊法を1年間用いた場合に、避妊に失敗する確率を示す指数としてパール指数というものがあります。ピルを理想的に使用した場合のパール指数は0.3にも達します。
日本国内での臨床試験でも0~0.593と低く、コンドーム、殺精子剤、リズム 法等の避妊法と比べ圧倒的に避妊効果は高く、ミレーナや避妊手術(男性・女性)に匹敵する避妊効果が得られます。
低用量ピルの生理痛に対する効果
生理痛は、子宮の出口が狭い頸管狭小やプロスタグランジンという子宮内膜に含まれる痛みの成分が原因です。
そのため、生理の量が多いと必然的に痛みの成分であるプロスタグランジンの量も多くなり、子宮の過収縮・血管の攣縮・子宮筋の虚血などが起こり、生理痛が強くなります。
低用量ピルは生理の量を少なくしてくれるため、プロスタグランジンの量も少なくなり、たとえ子宮の出口が狭くても、子宮の過収縮などはおこりにくくなり、生理痛が改善します。
月経前症候群(PMS)
に対する効果
月経前症候群(PMS)とは、月経前3~10日間の黄体後期に発症する多種多様な精神的あるいは身体的症状のことです。
低用量ピルは、生理前のこのような症状を軽減する効果があり月経前症候群(PMS)に対して、とても有効的な治療方法です。
ニキビに対する効果
低用量ピルの効果については、ニキビの数、重症度、自己評価のいずれにおいても有意に改善することが多くの研究で示されています。
ニキビの原因のひとつには、男性ホルモンの影響で脂腺が増大し、皮脂分泌が亢進すことが挙げられます。
低用量ピルには、この男性ホルモンを抑える効果があり、結果的に皮脂分泌が減り、ニキビの改善に役立ちます。
子宮内膜症、子宮腺筋症
に対する効果
子宮内膜症や子宮腺筋症の薬物治療では、基本的に生理を来させないようにする、あるいは生理の量を減らすことが大原則となります。
特に子宮内膜症は20歳代~40歳代にかけて好発します。
月経周期の短縮、過長月経・過多月経などがリスク因子とされており、低用量ピルはそうしたリスクを軽減することが可能です。
術後の再発予防効果も高く、術後無治療の場合では再発率29~40%であるのに対し、術後治療を受けた場合では6~11%にまで再発率を抑えることが示されました。

低用量ピルの安全性
低用量ピルは、大規模なコホート研究により、低用量ピルの長期服用で死亡率に変化がない、あるいは低くなることが証明されており、安全性の面でも低用量ピルはとても優れたお薬です。 ただし、副作用や内服にあたり注意する点も存在します。
低用量ピル処方の流れ
STEP 124時間WEB予約あるいはお電話にてご予約ください
まずはご予約後に受診していただきます。
当院でのピル処方が初めての方は「初診ピル外来」よりご予約していただきます。
すでに他院でピル処方をされている方も、こちらよりご予約ください。
STEP 2どの種類のピルが適しているかを決めます
ピルをご検討されている理由やご予算などから患者様のニーズに合った最適なピルを選択します。
もし、ピルの内服をまだ迷われている方やピルの説明だけでも受けてみたいという方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
STEP 3ピルの服用開始について
ピルの服用は、生理が始まって5日目までに開始します。
これは服用開始時に妊娠をしていないということの証明になるのと同時に、生理5日目までに服用を開始しない場合、その周期で排卵してしまう可能性があり、確実な避妊効果が得られなくなってしまうためです。
STEP 4ピル飲み始めに起こりうる副作用
服用開始後から体が慣れるまで一時的に吐き気、不正出血、乳房が張るなどの症状が起こる場合があります。通常は数日から3か月以内には消失します。
それ以上続く場合には、他に原因があったり、ピルの種類があっていないケースが考えられますので、原因を検索し、ピルの種類を変更します。
また頻度としてはまれですが、静脈血栓塞栓症という重篤な副作用も存在します。
なお、すでにピル服用中の方に関しては、当院初診であっても数か月分の処方が可能です。
STEP 5ピルをやめるタイミングについて
ピル服用はいつやめても問題ありません。
特に妊娠をお考えの方は、いつから妊娠ができるのか気になることだと思います。
基本的にはどの種類のピルを服用されていても、3か月以内には90%以上の方で排卵が再開します。
ただし、もともと多嚢胞性卵巣症候群などで生理不順を来たしていた方などは、ピル服用をやめた後も生理がなかなか再開しない方がいらっしゃいます。
もしそのような方で妊娠をお考えの場合には、排卵誘発剤を使って排卵を促します。
さらに、その他に不妊症の原因がないかを調べる必要があります。
当院では「英ウィメンズクリニック」と連携し、不妊症検査や治療を行っております。

ミニピルとは
ミニピルとは「黄体ホルモンのみ」が配合されている薬剤のことを言います。
そのためミニピルにはエストロゲンが入っていないことから血栓症リスクがほとんどなく、「40歳以上、喫煙、授乳中、前兆を伴う片頭痛、トラネキサム酸を内服中」など、低用量ピルを服用できなかった方でも、内服することができます。 当院ではアザリアというミニピルを取り扱っており、月経困難症やPMSを改善し、高い避妊効果もあり、世界中で多くの女性に支持されています。
ミニピルの効果
ミニピルには休薬期間がないため、基本的には生理が起きない仕組みになっています。
そのため低用量ピルの休薬期間にあった消退出血がなくなり、低用量ピルでは改善が乏しかった生理痛に対しても、より高い改善効果を発揮してくれる可能性があります。
さらにミニピルは、低用量ピルと同様、99%以上の避妊効果を認めます。
まずは排卵を起こさないようにする仕組みで妊娠を予防しています。
さらに子宮頚管粘液の状態も変化するため精子の侵入を防ぎ、子宮内膜を薄い状態で保ってくれるため受精卵の着床を防ぐことができます。
これらの作用機序により、高い避妊効果を保つことが可能です。
ただし大前提として低用量ピルもミニピルも、これらの効果は、正しく服用した場合に限ります。
毎日決まった時間に服用することが決められているため、飲み忘れた場合にはこれらの効果が軽減します。
ミニピルが適している方
これらに当てはまる方は、ミニピルが良い適用になると考えています。
ミニピルご希望の方は、どんなことでもお気軽にご相談ください。
ミニピルが飲めない方
以下の項目に該当する方は、ミニピルの服用ができません。
ミニピルの服用方法
生理が始まった日からお薬をスタートして、同じ時間に1日1錠服用します。
生理が始まった日から5日以内には内服をスタートしましょう。
1シートの服用が終わったら、29日目からは新しいシートを服用します。
ミニピルは、同じ時間に服用することが大切で、12時間以上遅れて内服してしまうと、効果が薄れてしまう可能性があります。
また内服時間が遅れてしまうと、不正出血につながるため、アラームなどをセットして、同じ時間に服用できるように対策しましょう。
ミニピルの副作用
不正出血
ミニピルは副作用の少ないお薬ですが、服用して3ヶ月以内は不正出血が出る場合がよくみられます。
通常は3ヶ月以上きちんと服用を続けることで、ほとんどの方で不正出血はなくなっていきます。
不正出血があった場合でも、決められた通り服用できていれば避妊の効果が少なくなることはありません。
また服用時間が遅れた場合や、下痢や体調不良の時も腸からの吸収が悪くなり不正出血が見られることがあります。
吐き気・頭痛・乳房の痛みなど
低用量ピルと比べると少ない印象ですが、服用をスタートしたばかりの時期に吐き気や頭痛、乳房の痛みなどを感じる場合があります。
また、気分の落ち込みなどの症状が出る場合もあります。
服用を続けていくと落ち着いてくることがほとんどですが、症状が続く場合にはご相談ください。
低用量ピルと比べると強い副作用が出ることはまれで、とても使いやすいお薬です。
ミレーナとは
ミレーナは「避妊リング」とも呼ばれる、T字型をしたプラスチック製の「子宮内避妊器具」です。子宮内に装着することで、受精卵の着床を阻害する効果が最長5年間、期待できます。
同じく避妊対策として用いられる「ピル」と比べて、毎日服用する必要がなく、子宮周辺での局所作用なので血栓症リスクもありません。そのため、ピルの服用が体質的に合わない方、喫煙者や肝機能値に異常のある方、40歳以上の方などにおすすめしたい避妊対策です。
当面、妊娠を考えていない方、なんらかの理由でピルの服用ができない方、生理の量や重い生理痛にお悩みの方、ミレーナ装着にご興味のある方はぜひ当院までお気軽にご相談ください。
ミレーナの期待できる効果
避妊効果
子宮内にミレーナを留置すると、ミレーナに含まれる黄体ホルモンがゆっくりと持続的に放出されるので、子宮内膜の増殖を抑えます。子宮内膜が薄くなるので、受精卵が着床しにくい環境(内膜)となり、妊娠を防ぐ(避妊)効果が期待できます。
さらに、子宮頸管の粘膜を変化させることで、精子が子宮内に侵入するのを防ぐ効果もあります。
過多月経・月経困難症の症状緩和
ミレーナ装着により黄体ホルモンが持続的に子宮内に放出されると、子宮内膜の増殖が抑えられ、子宮内膜が薄くなることで、経血量が大幅に減ったり、生理痛が軽減されたりと、生理が楽になります。
ミレーナのメリット
子宮内のみに直接作用するので、
ピルが服用できない人にも使用可能
ミレーナは子宮内へ留置して使用するので、ミレーナに含まれる黄体ホルモンが子宮内のみに作用します。そのため、血栓症リスクがある方、40歳以上の方、喫煙者(1日15本以上タバコを吸う方)、高血圧の方、肥満の方(BMI30以上)など、低用量ピルが服用できない方に対してもミレーナは装着可能です。
最長5年間の効果が期待できる
低用量ピル・ホルモン剤と同じように、避妊や過多月経・月経困難症の症状緩和効果を持つだけでなく、1回の装着で最長5年間の効果を発揮します。
1度装着してしまえば、ピルのように毎日の服用が必要ないので、飲み忘れによる失敗がありません。
コストパフォーマンスが高い
同じ目的で低用量ピルやホルモン剤を毎日5年間服用した場合と比較すると、ミレーナ装着の方が安価で済みます。
ミレーナのデメリット
副作用がみられることがある
ミレーナ装着後、一時的に不正出血・下腹部の違和感・腹痛などの症状が現れることがあります。これらの副作用は、基本的に時間経過とともに落ち着いていくので、過度に心配する必要はありません。
また、月経に次のような変化がみられることもあります。
ほかに、重篤な副作用として、穿孔(子宮に穴があいてしまうこと)、骨盤内炎症性疾患、異所性妊娠(子宮外妊娠)などがまれに起こる場合もありますので注意が必要です。
上記のような出血や痛み・違和感などの症状が長引いたり強かったりするときには、しっかりと原因を調べ検査しましょう。
ごく稀に自然に
脱出する(外れる)ことがある
国内の臨床試験によると、装着後1年間で約1.5%の方に脱出がみられたと報告されています*2。子宮の形に異常がある、子宮筋腫などを合併している場合には、脱出の頻度が高くなります。
ミレーナを装着できない
ケースもある
子宮内腔異常・子宮粘膜下筋腫、性感染症などの婦人科疾患がある場合、子宮口が狭い方に使用できないケースもあります。
ミレーナとピルの違い
女性の積極的な避妊方法には、ミレーナとピルが有名です。
ミレーナとピルの違いは、次の通りです。
| ミレーナ | 低用量ピル | |
|---|---|---|
| 作用する 女性ホルモン |
黄体ホルモン (プロゲステロン) |
卵胞ホルモン (エストロゲン) + 黄体ホルモン (プロゲステロン) |
| 薬のタイプ | 子宮内留置 | 内服薬 |
| 薬の効き方 | 局所 (子宮内のみ) |
全身 |
| 排卵の有無 | 排卵する | 排卵しなくなる |
| 特徴 |
喫煙者/40歳以上でも使用可能
血栓リスクがない
定期検診が必要
5年前後で交換
|
血栓リスクが高くなる喫煙者や40歳以上など適応NG
毎日の服用が必要
生理周期調整機能
|
| 副作用の有無 |
不正出血
下腹部違和感など
|
血栓リスクがある
不正出血/吐き気/むかつきなど
|
当院のミレーナ装着の特徴
痛みに配慮したミレーナ装着
一般的に経腟分娩の経験がない方では、子宮口の広がりがないことによって装着時に痛みを感じることがあります。
当院では、できるだけ装着時の痛みが軽減されるよう、事前に「痛み止め」を服用していただいてから、ミレーナを挿入しております。
さらに、ご希望があれば、オプションで「静脈麻酔」下での無痛ミレーナ装着も可能です。
静脈麻酔は、呼吸管理が必要な全身麻酔と比べて、意識レベルを下げて眠った状態となるため、体への負担が少なく済みます。眠っている間にミレーナを装着できるので、経腟分娩の経験がない方・痛みに弱い方におすすめです。
なお、静脈麻酔を使用する場合には、事前に血液検査が必要となりますので、予約制とさせていただいております。ご希望の方は、初診ご予約時にお申し出ください。
診察当日の装着も可能
当院では、初診時に問診・診察・術前検査(内診)を行っております。
迅速クラミジア・淋菌検査にて陰性が確認できましたら、診察日当日の装着にも対応しております。
ご希望の方は、お申し出ください。
ミレーナ装着をおすすめしたい方
ミレーナ装着の流れ
STEP 1ミレーナ相談

当院では、最初にミレーナ装着のメリット・デメリットや施術方法などミレーナ装着に関して、詳しいご説明をさせていただいております。
その際、ご不明点だけでなくご不安に感じていることなどがありましたら、何なりと医師までお話しください。
「ミレーナ装着について、まずは話だけ聞きたい」という方は、お気軽にご相談ください。
また、ご希望がありましたら、ミレーナ相談時に「診察・術前検査(エコー検査・性感染症検査)」を行うことも可能です。お申し出ください。
STEP 2 問診・診察(内診)

最終月経・性交経験の有無・妊娠出産歴・病歴などを問診表にご記入いただき、その内容を基に医師による診察を行います。
診察では、次のような検査を行います。
通常、ミレーナは診察・検査日から数日後の「再診時装着」としていますが、迅速クラミジア・淋菌検査(自費)で陰性が確認できれば、当日ミレーナ装着も可能です(※生理7日以内)。診察当日の装着を希望される場合には、お申し出ください。
STEP 3【再診時】ミレーナ装着

問診および診察の結果、ミレーナによる効果が期待できると判断された場合は、生理7日以内に子宮内にミレーナを装着します。子宮筋腫や子宮内膜症があるなど、場合により装着できないケースがあります。
痛み対策として、オプションにて「静脈麻酔」下での無痛ミレーナ装着も対応しています。
静脈麻酔は「眠った状態」になるだけの体への負担が少ない麻酔です。
※ただし、静脈麻酔を使用する場合には、事前の血液検査が必要となりますので、「予約制」とさせていただいております。ご希望の方は、事前にお申し出ください
STEP 4ご精算

受付にてご精算をお願いします(現金またはクレジット決済対応)。
STEP 5定期検診

装着から約1か月後に経過観察を行いますので、ご来院ください。
ミレーナは装着したら、おしまいではありません。「適切に装着されているか?」がとても重要であり、定期的にミレーナの装着位置や出血状態を確認しています。
通常、装着してから1か月後、3か月後、半年後、以降1年ごとに定期検診を行っております。また、装着後5年を目安に抜去します。
なお、不正出血など副作用がある、疾患フォローが必要な場合には、患者さまに合わせて適切な間隔でフォローさせていただきます。
ミレーナ装着中、違和感など何か気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
当院では「英ウィメンズクリニック」と連携し、不妊症検査や治療を行っております。
ミレーナ装着後の注意点
ミレーナ装着にあたり、次のような注意点があります。
気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
装着から3か月は、一時的な副作用が起こりやすい
個人差はありますが、子宮内に装着してから3か月ほどは、不正出血・下腹部の違和感などの症状を認める方がおられます。特に不正出血の頻度は高く9割以上の方にみられます。ほとんどの場合、少量の出血から茶色のおりものが付着する程度です。
これらの副作用は徐々に改善し、通常3か月以内には消失します。
体がミレーナに慣れるまでの一時的な副作用ですので、基本的には心配ありませんが、異常な痛み・多い出血などがありましたら、すぐにご受診ください。
装着後の定期検診は、最大限の
効果を得るために重要
ミレーナを適切に使用していただくためには、装着後の定期検診がとても重要です。
ミレーナには、気づかないうちに位置がずれてしまったり、脱出してしまったりする可能性があります。
※国内の臨床試験では、装着後1年以内の脱出率は約1.7%と報告されています。
また、ごく稀にミレーナが子宮の壁に入り込んで穴が開く「穿孔」などの重大な副作用が起こる可能性も指摘されています。
ミレーナ装着後は、定期検診でミレーナの位置・出血の状況・効果を確認しながら使用することが大切です。さらに、定期的にミレーナの装着状況を確認することは、重大な副作用の発生予防・早期発見にも効果的です。
ミレーナの効果を最大限得るためにも、定期検診をしっかりと受けましょう。
妊娠する可能性はゼロではない
ミレーナは正しく使用すると、1年間の妊娠率は0.2%と高い避妊効果が期待できますが、ミレーナの位置がずれていたりすると妊娠する可能性(子宮外妊娠を含む)があります。
定期的に検査を行い、正しく装着されていることを確認しましょう。
除去用の糸は、絶対に引っ張らない
ミレーナには、取り外す際に用いる糸がくっついているため、ご自身で腟内に手を入れれば除去糸を確認することが可能です。しかし、この除去糸を引っ張るとミレーナの位置がずれたり、外れたりする原因になることがあるため、絶対に引っ張らないでください。
月経(生理)がなくなることがある
ミレーナ装着後、次第に月経回数が減り、装着1年後に約20%の方で月経が起こらなくなるという報告*4があります。
これはミレーナに含まれる合成黄体ホルモン(レボノルゲストレル)の効果により、子宮内膜が厚くならない(=薄くなる)状態となるためです。
その結果、子宮内膜が剥がれる「生理」が起こらなくなります。
この現象は、特に心配する必要はありません。
生理痛が本当にひどい方にとっては嬉しい効果です。
よくある質問
低用量ピル
低用量ピルに興味はありますが、服用するか、迷っています……。
低用量ピルは日常生活をより良くするためのものです。
ミレーナとともに非常に多くの女性に使用されている避妊方法であり、生理痛や生理前症候群(PMS)までも改善してくれます。
特にヨーロッパでは3~5人に1人は低用量ピルを服用しており、世界的にも最もポピュラーなお薬です。
低用量ピルにご興味があるようでしたら、どんな疑問や質問に対しても丁寧にご説明いたしますので、ひとりで悩まずに、お気軽にご相談ください。
低用量ピルは内服できないと言われたことがあります。他に良い方法はありますか?
なかには、低用量ピルを処方できない患者様もいらっしゃいます。
当院でもガイドラインに準じて、40歳以上の方、1日15本以上喫煙される方、(閃輝暗点などの)前兆を伴う片頭痛のある方、その他ガイドラインで処方が禁じられている方には処方を控えさせていただいております。
ただし、このような方にも安心して服用していただけるミニピル(アザリア)や服用の必要がないミレーナなどが存在します。 まずはご相談いただき、ご自身に合った最良の治療方法を見つけましょう。
毎日服用できるか心配です。何か良い方法はありますか?
毎日忘れずにピルを服用することは最初は難しいかもしれません。
ですが、ご自身の生活パターンに合ったタイミングで、毎日同じ時間帯に服用していただければ、一日の中でいつ服用していただいても問題ありません。
ピルを服用する時間にアラームをセットしたり、歯磨きセットの横に置いたり、台所に置いておいたり、必ず一度は目に入る場所に置いておくことがコツかもしれません。
それでも学校やお仕事、ご家庭の中で忘れてしまうようでしたら、ミレーナがおすすめです。一度装着すると最長5年間効果を持続することが可能で、日々の内服も必要ありません。
服用を忘れた場合の対処法を教えてください。
1か月に1回以上服用を忘れてしまう方の割合は、研究によっては80%以上とも言われています。
以下に飲み忘れた場合の対処法をお示しします。
・1錠の服用を忘れた場合
(直前の実薬服用から48時間未満経過した場合)
→飲み忘れた錠剤をなるべく早く服用する
→残りの錠剤は予定通りに服用する(同じ日に2錠服用してもよい)
→追加の避妊法は必要ない
→アフターピルは通常必要ないが、同じ周期にすでに飲み忘れがある場合、もしくは前の周期の最終実薬週に飲み忘れがある場合には、検討してもよい
・2錠以上の服用を忘れた場合
(直前の実薬服用から48時間以上経過した場合)
→飲み忘れた錠剤のうち直近のものをなるべく早く服用する
→残りの錠剤は予定通りに服用する(同じ日に2錠服用してもよい)
→コンドームなど追加の避妊法を使用するか、または7錠以上連続して服用するまでは性交を避ける
→第1週に飲み忘れ、かつ直前5日以内に性交を行った場合には、アフターピルを検討する
→第3週に飲み忘れた場合には、休薬期間を設けず、現在のシートの実薬を終了したらすぐに次のシートを始める
性感染症の予防効果はありますか?
性感染症に対する予防効果はありません。
そのためコンドームを使わない性交がある場合には、定期的に性感染症検査を受けることを推奨します。
特に、予定している消退出血以外に異常子宮出血がみられる場合には、性感染症の可能性がありますので、注意しましょう。
静脈血栓塞栓症とはどのようなものですか?
ピルの重篤な副作用に静脈血栓塞栓症という疾患があります。
生殖可能年齢女性においてピル非使用の場合の静脈血栓塞栓症の発症頻度は、1年間の中で1~5/10,000の確率ですが、ピル使用の場合では1年間の中で3~9/10,000の確率となり、わずかに増加します。
一方、ピルとは関係なく、妊娠中の女性では1年間の中で5~20/10,000の確率となり、産後12 週間では40 ~65/10,000の確率となります。
たしかにピルの服用で静脈血栓塞栓症のリスクはわずかに上昇しますが、妊娠中や産後のリスクと比べるとかなり低いことが分かります。
また静脈血栓塞栓症のリスクは、ピル服用開始後4か月以内に多く認められ、中止後3か月以内には非服用者のレベルまで戻るとされています。
静脈血栓塞栓症は命にもかかわる非常に危険な病態であるため、定期的な診察やご自身の自覚症状がとても重要です。
静脈血栓塞栓症で起こりうる症状
これらの症状が現れたらただちに内服を中止し、病院を受診してください
低用量ピルは、日常生活の質をとても良くしてくれるお薬です。
生理にまつわる様々な症状を改善し、非常に高い避妊効果があります。
当院では、いくつもあるピルの中から、さらにはピル以外の方法の中から、ご自身に合った最良の治療方法をご提案いたします。
お一人で悩まずに、まずはお気軽にご相談ください。
ミニピル
ミニピルはいつから効果がありますか?
生理開始日から(遅くとも5日以内に)服用を開始すると、服用し始めた日から7日後から避妊効果が期待できます。
そのため最初の7日間は、コンドームなどの避妊方法を併用してください。
ミニピルを飲み始めて生理が来ないのですが大丈夫ですか?
ミニピルは休薬期間がないため、基本的には生理が起こらないお薬です。
ただし、毎月生理の時のように決まった周期で少量の出血を伴う方もいらっしゃいます。
その場合でも飲み忘れなく服用できていれば避妊効果が少なくなることはありません。
ミニピルが向いている人はいますか?
血栓症リスクの高い方や、低用量ピルでは生理痛改善が乏しい方、副作用があり低用量ピルを内服できない方などがミニピルの良い適用になると考えています。
これらに当てはまる方は、ミニピルが良い適用になると考えています。
ミニピルをご希望の方は、どんなことでもお気軽にご相談ください。
ミニピルを飲んでいる時に風邪薬や胃腸薬を服用しても良いですか?
一般的な風邪薬や胃腸薬はミニピルを服用している時も影響を与えることはないため、問題ありません。
ミニピルは、血栓症のリスクがほとんどないため、低用量ピルとの併用ができない「トラネキサム酸」の併用も可能です。
ただし、以下の薬はミニピルとの相互作用でお互いの血中濃度に影響を与える可能性があるため、注意をしましょう。
ミニピルが内服できない人はいますか?
以下の項目に該当する方は、ミニピルの服用ができません。
ミニピルは低用量ピルと比較して、エストロゲンの影響を受けないため血栓症のリスクがほとんどなく、40歳以上の方、タバコを吸われる方、授乳中の方、前兆を伴う片頭痛のある方、血栓症リスクのある方など、今まで低用量ピルが内服できなかった方でも、内服することが可能です。
ミニピルをご希望の方は、どんなことでもお気軽にご相談ください。
ミレーナ
ミレーナを装着するとき、痛みはありますか?
痛みの感じ方には個人差があります。
ただし、経腟分娩の経験があるかによって、ある程度違いがあるかもしれません。
一般的に経産婦の方は、出産によって子宮口がもともと少し開いているため、ミレーナを挿入する際の痛みはあまり強くありません。しかし、帝王切開での分娩をされた方(経腟分娩の経験がない方)、妊娠出産の経験がない方、痛みに弱い方では装着時に苦痛を感じることがあります。
当院では痛み対策として、ミレーナ装着の1時間前に「痛み止め」を服用していただいております。
さらに、経腟分娩の経験がない方や痛みに弱い方に対しては、オプション(予約制)で静脈麻酔下での「無痛ミレーナ装着」を行っています。呼吸管理が必要となる全身麻酔とは異なり、静脈麻酔*5はウトウト眠るタイプの麻酔であり、数分程度眠っている間に痛みや恐怖心を感じることなく装着することが可能です。
*5(参考)静脈麻酔:胃カメラの際にも使用され、自発呼吸が可能な麻酔。眠った状態となるので、痛みや恐怖心などを感じなく施術を受けられる。
ミレーナはいつから避妊効果がありますか?
装着後、すぐに避妊効果は得られます。
ただし、クラミジア・淋菌・性器ヘルペスなどの性感染症、梅毒やHIV感染を防ぐものではありませんので、ご心配な方は定期的に感染症の検査を受けましょう。
ミレーナが使えない人はいますか?
次のような症状に一つでも当てはまる方は、原則的にミレーナ装着が行えません。
ただし、場合によって装着できるケースがありますので、お気軽にご相談ください。
ミレーナ装着後、どのような症状が現れたら受診が必要ですか?
次のような症状がみられたら、すみやかにご受診ください。
また、約500人に1人の割合で稀にミレーナ装着をしていても妊娠することがあります。
次のような症状がみられたら、早期の処置が必要となります。
すぐにご来院下さい。
出産後、いつからミレーナは装着できますか?
分娩後すぐの装着では穿孔や脱出の可能性が高くなるため、子宮の回復(6週間以上)を待ってからの装着が望ましいとされています。
また、母乳による授乳をされている場合、子宮内穿孔リスクが高まるとされています。
そのため、当院では出産してから6か月以降を目安とさせていただいております。
なお、帝王切開による出産や骨盤内手術をされた場合には、術部の回復を確認してからの装着が必要となります。
ミレーナを装着したまま、CTやMRI検査は受けられますか?
ミレーナは柔らかいプラスチック製なので、CTおよびMRI検査への影響はありません。装着したまま、検査をお受けいただけます。
ミレーナには使用期限はありますか?
ミレーナは一度の装着で、最長5年間の効果が期待できます。
しかし、必ず5年を超えないうちに、除去もしくは交換する必要があります。
使用期限が近くなると、出血量が増えたり生理痛が起きたり、避妊効果が低下する可能性があります。
そのため当院では、装着後5年目を超えない時期に交換や除去をおすすめしています。
ミレーナには、とても高い避妊効果があります。
一度正しく挿入すれば、最長5年間も効果が続くため、コストパフォーマンスが非常に高い避妊方法です。
また、ミレーナに含まれる黄体ホルモンの作用で子宮内膜が薄くなることから、過多月経や月経困難症の方に対する治療としても大変効果的です。
「望まない妊娠を避けること」「毎月のつらい生理を緩和すること」どちらも女性にとって、QOL(生活の質)に関わる重大な事柄です。
避妊対策や過多月経・重い生理痛などでお悩みの方に対する選択肢の一つとして、是非ミレーナ装着をご検討ください。
ミレーナにご興味がございましたら、お気軽に当院までご相談ください。
診察をご希望の方は、当院の24時間WEB予約かお電話にてご予約ください。