子宮腺筋症とは？

子宮腺筋症とは、子宮筋層内に異所性子宮内膜組織を認める疾患のことです。エストロゲン（女性ホルモン）依存性に増殖するものと考えられており、子宮内膜症と同様に、子宮内膜様組織が月経のたびに増殖を繰り返します。子宮の腫大に伴い様々な症状を呈します。

好発年齢と原因

子宮腺筋症は性成熟期から更年期にかけて好発し、30歳代後半～40歳代にピークがあります。経産婦に多いとされ、分娩や子宮内操作を行った際に子宮筋層内に子宮内膜様組織が侵入することなども原因のひとつとされていますが、発生機序については未だ解明されていません。

症状

月経困難症と過多月経が主症状です。月経を重ねるごとに増強する月経痛、過多月経、月経期間の延長それに伴う貧血などをきたします。その他に下腹痛、性交痛、腫大した子宮腺筋症による圧迫症状、不妊などを認めます。最近では子宮腺筋症の存在と不妊の関連性が示唆されています。これらの症状がある方は、お早めに当院へご相談ください。

検査方法

月経困難症や過多月経などの症状、内診、超音波検査により診断しますが、子宮筋腫や子宮肉腫（悪性腫瘍）との鑑別を要する場合にはMRI検査を行います。また腫瘍マーカー（CA125）を測る場合もあります。生理痛に対して漫然と鎮痛剤で対応してしまい子宮腺筋症などの病態を見逃してしまわないよう、症状がある場合には早めの検査を受けましょう。

性交渉の経験がない方は、基本的に経腹超音波検査（お腹の上から超音波検査）を行います。場合によっては経直腸超音波検査（おしりから超音波検査）を行うこともあります。

治療方法

月経困難症、下腹痛、性交痛などの疼痛、過多月経やこれによる貧血、圧迫症状および不妊などの症状があれば治療の対象になります。子宮内膜症に準じて、ピル、ジエノゲスト（黄体ホルモン製剤）、ミレーナ（レボノルゲストレル放出子宮内システム）、リュープリン（GnRHアゴニスト）等による薬物療法を行います。これらの治療により、子宮腺筋症病巣の縮小、経血量の減少、疼痛の改善など様々な症状の軽減が期待できます。また根治療法としては子宮摘出術を行うこととなります。

当院では、患者様にあった最適な治療方法を選択し、一緒に症状の改善を目指します。
診察をご希望の方は、当院の24時間WEB予約かお電話にてまずはご相談ください。

妊娠を希望する場合には？

基本的に子宮腺筋症の治療とは、生理を来させないようにする、あるいは生理の量を減らすことが前提となっています。そのため排卵がおこりません。もし妊活をご希望されている場合には、休薬と鎮痛剤による対処療法が基本的治療となります。そして、子宮腺筋症の存在が不妊の原因であることを強く疑うケースでは、体外受精や子宮腺筋症切除術などを考慮する場合があります。

治療はいつまで続けるべき？

子宮腺筋症はエストロゲン（女性ホルモン）依存性に増殖する疾患であるため、基本的には閉経（生理がなくなる）を迎えると、自然に症状も消失し、治療の必要性はなくなります。ただし腫大した子宮腺筋症による圧迫症状がある場合には、閉経後も圧迫症状が続く可能性があり、その場合には手術などを考慮するケースがあります。

ここからはQ＆Aで分かりやすく解説していきます。